よしなしごと

読んだり観たり聴いたもの

「紙の月」 角田光代

 

紙の月 (ハルキ文庫)

紙の月 (ハルキ文庫)

 

 

仮定は過去へ過去へと遡りながら無数に散らばっていくが、けれど、どの仮定を進んでも、自分が今この場にこうしているような気がしてならない。

 

お金をたくさん、たくさん遣って目の前にある物を人を掴もうとするのだけど、

どうしても手に入らない。

しまいには、それでなくても良かったんじゃないか、もしかして幾ら費やしてもそれは手に入らないのかと思い始める。

そもそも、それが欲しかったのは本当の私?

と、どんどん深みにハマる話。

 

角田さんの小説はどんな描写も穏やかな空気が漂っている。

でも、その日常感が怖い。

そこにいて、そう感じたのが、自分のような気がしてしまうから。